代名動詞とは、主語と同じものを指す直接目的語または間接目的語がセットになった動詞のことです。
代名動詞には、4つの用法があります。
- 再帰的用法 : 自分自身を~する
- 相互的用法 : お互いに~する
- 受身的用法(主語はモノ)のみ:~される
- 本質的用法:その他の用法(代名動詞の形でしか使われない動詞を指す)

以下で、詳しく見ていこう!
再帰的用法 : 自分自身を~する
こちらの用法は、自分自身が目的語になるケースで、「自分を~する」という意味になります。
- appeler(呼ぶ): s’appeler(自分を呼ぶ)
- lever (起こす、立てる): se lever(起きる、立つ)
- réveiller(目を覚まさせる、起こす): se réveiller(目が覚める、起きる)
- coucher(寝かせる): se coucher( 寝る)
- laver(洗う): se laver(自分を洗う)

日本語だと、寝起きに関しては「自然に寝ちゃう、目が覚めちゃう」って感じだけど、フランス語では「自分自身を寝かす、起こす」と表現するように、人為的な感じがするね。
例文)
Je me lève à six heures. 私は6時に起きる。
→ leverは「起こす」という意味で、「je me lève」は文字通りに解釈すると「自分自身を起こす」。
Nous nous couchons à 22 heures. 私たちは午後10時に寝る。
→ coucherは「寝かす」という意味で、「nous nous couchons」は「私たち自身を寝かす」。
Je m’appelle Marie. 私の名前はマリーだ。
→ appelerは「呼ぶ」という意味で、「je m’appelle ~」は「私は自分を~と呼ぶ」。
Ils se reposent. 彼らは休む。
→ reposerは「休ませる」という意味で、「ils se reposent」は「彼らは自分たちを休ませる」。
相互的用法 : お互いに~する
こちらは主語が複数の場合に成立します。
代名詞が直接目的語になる場合は「互いを~しあう」、間接目的語になる場合は「互いに~しあう」という意味になります。

「相互的用法」には、必ず「相手」が必要だね!
よく使われる動詞は、以下の通りです。
- se parler(話し合う)
- se discuter(議論し合う)
- appeler(呼び合う、電話し合う)
- téléphoner(電話し合う)
- saluer(あいさつし合う)
- aimer(愛し合う)
- rancontrer(互いに会う)
- voir(互いに見る、互いに会う)
例文)
Nous nous parlons. 私たちは話し合う。
Ils se rencontrent souvent dans un supermarché. 彼らはスーパーで出会う。
Elles se téléphonent. 彼女たちは電話しあう。
Jacque et Marie s’aiment. ジャックとマリーは愛し合っている。
Nous nous saluons. 私たちはあいさつし合う。
受身的用法(主語はモノ)のみ:~される
こちらは日本語でいうと「~される」に相当する表現で、主語はモノのみです。
特に動作主を示す必要がない場面で使われます。

日本語では受動態が使われる表現だね。
「~される」と言いたいとき、フランス語では受動態にプラスして、この「受身的表現」の代名動詞が使われるよ!
よく使われる動詞は、以下の通りです。
- se fabriquer(作られる)
- s’employer(使われる)
- se dire(言われる)
- se vendre(売られる)
- se trouver(見つかる、ある)
- se situer(~に位置づけられる、ある)
例文)
Il se fabrique au Japon. これは日本で作られている。
Ce jeu se vend bien. このゲームはよく売れている。
Cet outil s’emploie souvent. この道具はよく使われている。
Un bureau de poste se trouve devant la gare. 郵便局は駅前にある(文字通りに訳すと「駅前で見つけられる」)。
本質的用法 : 代名動詞の形でしか存在しない動詞
「本質的用法」は、以下のような動詞を使うことを指します。
- 代名動詞の形でしか存在しない動詞(se souvenir など)
- 代名動詞になることでseが付く前の意味とは異なる動詞
→ 例① : 「se servir」は「使う」という意味だが、「servir」だと「給仕する、役立つ」。
例② : 「se mettre à + (不定詞)」は「~し始める」の意味だが、「mettre」は「置く」。

例えば、souvenirはほぼ必ずse souvenirと、代名動詞の形で使われるよ!
- se souvenir de ~(~を思い出す)
- se servir de ~(~を使う)
- se mettre à ~(~が始まる)
- s’apercevoir de ~(~に気がつく)
- s’attendre à ~(~を予期する)
- s’en aller(立ち去る)
例文)
Je me souviens de mon enfance. 私は子ども時代を思い出す。
Je me sers d‘un dictionnaire pour étudier le français.
Il se met à pleuvoir. 雨が降り始めた。

代名動詞については、まだ続きがあるよ!
代名動詞の複合過去と命令形について、以下で勉強しよう!
代名動詞の直接法複合過去
代名動詞の場合、複合過去で使われる助動詞は être のみです。
再帰代名詞が直接目的語である場合
代名動詞のseにあたる部分(「再帰代名詞」といいます)が文中で直接目的語である場合、性数の一致が起こります。
例1:「私が私を洗う」という意味の je me suis lavé は、話者が女性の場合、過去分詞の語末にeがついて、「je me suis lavée」となります。
例2:「彼らは彼ら自身を洗う」という意味の「ils se sont lavés」は、話者が複数なので過去分詞の語末に複数を表すsがつく。
ちなみに、性数一致の「e」や「s」がついても、発音自体は変わりません。

再帰代名詞(me, te, se, nous, vous)が直接目的語になる場合の代名動詞の複合過去の活用を、以下にまとめたよ!
【肯定形】
(一人称単数)je me suis lavé(e)
(二人称単数)tu t’es lavé(e)
(三人称単数)il s’est lavé / elle s’est lavée
(一人称複数)nous nous sommes lavé(e)s
(二人称複数)vous vous êtes lavé(e)(s)
(三人称複数)ils se sont lavés / elles se sont lavées
【否定形】

代名動詞の複合過去の否定形の語順は、「(主語)+ne+(再帰代名詞)pas+(過去分詞)」だよ!
(一人称単数)je ne me suis pas lavé(e)
(二人称単数)tu ne t’es pas lavé(e)
(三人称単数)il ne s’est pas lavé / elle ne s’est pas lavée
(一人称複数)nous ne nous sommes pas lavé(e)s
(二人称複数)vous ne vous êtes pas lavé(e)(s)
(三人称複数)ils ne se sont pas lavés / elles ne se sont pas lavées
再帰代名詞が間接目的語の場合
再帰代名詞(代名動詞の se にあたる部分)が文中で間接目的語である場合、過去分詞との性数の一致は起きません。
例文)
Elles se sont parlé. 彼女たちは話し合った。
Marie et Jeanne se sont écrit. マリーとジャンヌはお互いに手紙を書き合った。
また、体の一部を表す名詞が動詞の後におかれる場合、再帰代名詞と過去分詞の性数一致は起きません。
例文)
Ils se sont lavé les main. 彼らは自分たちの手を洗う。
→ 体の一部を表す直接目的語「les mains(手)」が文中にあるから、再帰代名詞と過去分詞の性数一致は起きない。
代名動詞の命令法

代名動詞の命令法は、次の点に注意しよう!
- 命令法の肯定形で、再帰代名詞は強勢形になる
- 命令法否定形では再帰代名詞は強勢形にならない
- 命令法否定形は、文頭がne、文末がpasになる
【命令法肯定形】
Lève-toi. 起きろ、起きなさい。
Levons-nous. 起きましょう。
Levez-vous. 起きてください。
【命令法否定形】
Ne te lève pas. 起きるな、起きないで。
Ne nous levons pas. 起きないようにしましょう。
Ne vous levez pas. 起きないでください。