英語の非人称「it」にあたるのは、三人称単数の「il(イル)」です。
普通、ilは「彼」と訳しますが、非人称として使う場合は、特に日本語に訳しません。

それじゃあ早速、非人称の「il」を使った表現を見ていこう!
パターンが決まっているから、覚えておけば大丈夫だね。
天候や気候についての表現
「晴れている」「雨が降っている」「今日は暑い」など、天候について述べる場合には、非人称のilが使われます。

「faire(フェール)+ (形容詞)」という構文で天候や気候を表すよ!faire(フェール)は主語の三人称単数に合わせて活用しよう(直接法現在だと「fait(フェ)」)。
あと、非人称の「il」に天候を表す動詞を組み合わせる場合もあるよ。
例文)
Il fait beau aujourd’hui. 今日は晴れ。 (beauは「美しい、きれいな」という意味。aujourd’huiは「今日」)
Il fait nuageux. (天気は)曇り。(nuageuxは「曇りの」という形容詞)
Il fait chaud. (気候は)暑い。 (chaudは「暑い」という意味の形容詞)
Il fait froid. (気候は)寒い。(froidは「寒い」という意味の形容詞)
Il pleut. 雨が降っている。(pleutはpleuvoirという動詞で、「雨が降る」という意味)
Il neige. 雪が降っている。(neigeはneigerという動詞の直説法現在で、「雪が降る」という意味)
時間を表す表現
「今、~時です」と述べるとき、非人称の「il」が使われます。
例文)
A : Quelle heure est-il ? 今何時ですか。
B : Il est dix sept heure et demie. 午後5時半(17時)です。
il y a(イリヤ) の構文
il y aは英語の「there is(are)」に相当する表現で、「…がある・いる」と言いたいときに使います。
例文)
Il y a un chat sur le lit. ベッドの上に1匹のネコがいる。
Il y a deux tasses sur la table. テーブルの上に2つカップがある。
Y a-t-il une clé sur le bureau ? デスクの上に鍵がありますか?(疑問文では主語と動詞の倒置が起き、「Y a-t-il」という形になる)

もっと例文が見たい方は、「~がある・いる(il y a)」を読んでね!
il faut(イル フォー) の構文
「il faut(イル フォー) + (不定詞)」は「…しなければならない」という意味で、「il faut(イル フォー)+ (名詞)」は「…が必要だ」と言いたいときに使います。

ちなみに、il fautのfautというのはfalloir(ファロワール)っていう動詞なんだけど、この動詞は非人称のilとしか使われないから、三人称単数以外の活用を覚える必要はないんだ。
例文)
Il faut aller au travail demain. 明日は出勤しなければならない。
Il faut rendre le livre à la bibliothèque demain. 明日本を図書館に返さなければならない。
Il faut du temps. 時間が必要だ。
Il faut plus d’argent. もっとお金が必要だ。(「plus de + (名詞)」で、「さらに多くの…」という意味を表す)
Il est (形容詞)+ de (不定詞)の構文
英語でいうと「it is … to~」にあたる構文で、「~するのは…だ」という意味を表します。
例文)
Il est difficile de répondre à cette question. この問いに答えるのは難しい。
Il est possible de finir ce travail. この仕事を終わらせることは可能だ。
Il est impossible pour les humains de voler. 人間にとって、飛ぶことは不可能だ。(pour les humains : pourは「(誰々)にとって」、les humainsは「人間たち」)

ちなみに、「il est(形容詞) de(不定詞) 」構文の他に、「il est (形容詞)que + (主語)+(動詞)」という構文もあるけど、ここではとりあえず、既に紹介した前者だけ覚えておけば大丈夫だよ。