私は2014年から2021年の7年間、フランスのセルジー(Cergy)という町に住んでいました。ここでは、セルジーに関する情報や実際に住んでみた感想をご紹介します。

「セルジーに行くことになった」「住むことになった」という方のお役に立てば嬉しいな♪
日系企業や高等教育機関もあるから、駐在や留学で来る日本人も少なくないのかも。
パリ郊外の町・セルジーの場所は?
セルジーはパリから40キロ、電車で45分くらいの場所にあります。パリから見て北西ですね。
私が住んでいたところの最寄駅は「Cergy Préfecture(セルジー・プレフェクチュール)」で、パリからRERのA線が伸びています。
セルジーにある施設は?
セルジー・プレフェクチュール(Cergy Préfecture)駅前は買い物に便利
駅を出てエスカレーターを登ると、パン屋や薬局、銀行、雑貨屋などの店が立ち並ぶ、ちょっとした商店街があります。
さらに商店街を奥に進むと、大きなショッピングセンターに行き当たります。
ここは「Les 3 Fontaines(レ・トロワ・フォンテーヌ)」という名前の大型商業施設で、スーパーマーケット、ブティック、電気屋、スポーツ用品店、本屋、美容院、お菓子屋、カフェなどがあり、だいたいのものはここで揃います。

セルジーで最も大きなショッピングセンターなので、地元の人だけでなく、近隣からやってくる人もお多いようです。

スーパーはいつも混んでたなあ。
2020年には施設内に「District(ディストリクト)」という飲食店エリアができ、ファーストフードから本格的な料理まで色々楽しめるようになりました。

正直、それまでのセルジーはあまり大した飲食店がなかったから、「District」ができたのは嬉しかったな。ちなみに、枝豆や焼きうどんが食べられる店もあったよ。
高等教育機関が多い
セルジーは6つの高等教育機関があるので、学生がたくさんいます。


セルジーにあるのは「大学」と「グラン・ゼコール」だよ。「グラン・ゼコール」というのは、「入学試験がある高等教育機関」で、エリートコースなんだ。フランスでは一般的に、大学には入学試験がないんだよ。
ちなみに、セルジーにある高等教育機関は、以下の通りです。
・CY Cergy Paris Université(CY・セルジー・パリ・ユニヴェルシテ):CYセルジー・パリ大学
・Essec(エセック):エセック経済商科大学院大学
・CY Tech(CYテク):エンジニアの学校。
・Ensea(アンセア):国立高等応用電子学院
・ECAM-EPMI(エカム・エプミ):エンジニアの学校。
・École de Biologie Industrielle(エコール・ドゥ・ビオロジー・アンデュストリエル):産業生物学を研究する学校。
県庁がある

セルジー・プレフェクチュール(Cergy Préfecture)駅のすぐそばに、県庁があります(そもそも「プレフェクチュール(Préfecture)」は「県庁」という意味です)。
外国人が滞在許可証をもらうのに県庁へ出向く必要があるため、私も何度か足を運びました。

県庁は朝9時に開くんだけど、その時間に行ったら既に待っている人が多すぎて受け付けてもらえないので、まだ日が昇っていない6時から並んだなあ(涙)。
見た目が派手な劇場がある
セルジー・プレフェクチュール駅で降りて1分くらい歩くと、ド派手な金ピカの劇場が姿を表します。
私は利用したことはないのですが、レストランもあるようで、のんびり食事を楽しんでいる人たちを見かけました。
大きなレジャー施設がある
セルジー・プレフェクチュール駅とセルジー・サン・クリストフ駅の間に、「Base de loisir(バース・ドゥ・ロワジー)」というレジャー施設があります。

大きな池がいくつもあり、水泳やジェットスキー、カヌーなどができます。森の中には、木の上に作られた空中アスレチックも。
私は激しい運動はあまり得意ではないので、園内を散策するだけでしたが、かなり広いため1周するのに2時間くらいかかります。
園内では、たまにリスやウサギといった野生動物と遭遇することもありました。
2022年ノーベル文学賞作家が住んでいる
2022年のノーベル文学賞を受賞した作家のアニー・エルノーは、実はセルジー在住なんだとか。
アニー・エルノーさんは1975年からセルジーに住んでおり、この町は彼女の創作にとって重要な要素になっているそうです。

彼女の作品の中では、生々しい描写を冷静な視点で描いていた『シンプルな情熱』が好き。
セルジーの雰囲気は?
一応「パリ郊外」なのですが、パリとはまた一味違っています。
駅前エリアは商業施設も多く賑やかでしたが、それ外は住宅街、公園、森、畑など長閑な雰囲気でした。
フランスは、パリなど大きな町以外は、田園風景が広がっている場所が多いようです。
また、住んでいる人たちは年配の人よりも若い人が多い印象でした。
アフリカ系やマグレブ系の移民の人たちもたくさんいました(あと、中国人らしきアジア系の学生さん達も)。
「外国人がいるのが普通」という雰囲気が何となくあるので、日本人である私も、あまり周囲から浮いている感じは受けませんでした。

逆に、フランスの地方の小さい町に行くと、アジア人ってだけで注目されがちだけどね。
アパルトマン住まいでは住人同士の交流はほとんどなく、お互い他人に無関心な感じはしました(一戸建てに住んでいる人たちは違うのかもしれませんが)。
セルジーの治安は?
セルジーの治安は「可もなく不可もなく」といった感じでしょうか。
昼間、女性が一人で歩く分にはまず問題ありませんが、夜遅くに出歩くのはあまりおすすめしません。
私は特に危険な目に遭ったことはありませんが、知人女性が夜道を歩いていてバッグを引ったくられたと聞きました。
住むのにおすすめ?
騒音問題がある場合も
場所にもよりますが、ESSEC(エセック)の近くはあまりおすすめしません。
というのも、学生さんが非常に元気で、夜中までパーティーを楽しんでいらっしゃるからです(なかなか安眠できなかった・・・)。
なぜかこの学校には、(真面目な学生さんも多いとは思いますが)騒音問題を起こす学生さんが多く、地元のメディアでも取り上げられていました。
一方、駅から少し離れた、昔ながらの家々が軒を連ねる「Base de Loisir」付近のエリアは、閑静な雰囲気がありました。
パリに通勤・通学する場合はおすすめしない
「パリから電車で40〜50分」というと、一見通うのに問題がなさそうですよね。
ところが、フランスの鉄道事情は日本のそれに比べると残念な部分が多いので、セルジーからパリまで通勤・通学するのはあまりおすすめしません。
夜になると電車の本数が格段に減りますし、終電も早いですし、鉄道工事も頻繁に行われるので、バスなど面倒な代替手段を使わざるを得なくなります。
私もパリまで通勤していた頃がありましたが、例えば夜21時に終わる仕事でも、電車の本数が恐ろしく少ないので、セルジーに着くのが23時くらいになっていました。
セルジーはどんな町?まとめ
私にとってセルジーは、正直なところ、手放しで「素晴らしい町です!」と言えるようなところではありませんでした。
でも、買い物に便利な点や自然豊かな点は、評価できると思います。
「住めば都」と言いますが、もし皆さんがセルジーに住むことになったら、自分なりに良いところを発見できると良いですね。